Chest pain
胸痛
胸痛 に関して
胸痛は”胸が痛い”という状態ですが、原因となる病気が多く、診断が難しい症状といえます。また、急いで治療を行わないと命に関わる病気もあるため、詳細な問診に加え、迅速な検査が必要になる場合があります。胸にはたくさんの臓器があり、そこに何かがおこると胸痛が出現しますが、胸部以外の臓器 (胃、胆のう、すい臓など) や全身性疾患も胸痛をおこすことがあるため注意が必要です。
急いで医療機関を受診すべき腹痛
- 突然発症した今まで経験したことがない胸痛や背部痛
- 持続する締め付けられるような胸痛
- 動作後に症状がでて頻度が増えてきている
- 嘔気、嘔吐、発汗などを伴う
- 虚血性心疾患のリスクがある (心臓の持病、高齢、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙、大量飲酒 など)
気になる場合はいつでもどんな胸痛でも受診して下さい。
緊急性の高い胸痛
- 急性冠症候群 (心筋梗塞、不安定狭心症):緊急で冠動脈を拡げる治療が必要。
- 心タンポナーデ:血圧が保てない場合は早期に治療が必要。
- 急性大動脈解離:緊急で手術が必要な可能性がある。
- 緊張性気胸:呼吸や血圧を保てなくなるため、緊急で治療が必要。
- 肺塞栓症:呼吸や血圧を保てなくなるため、緊急で治療が必要。
- 食道破裂:炎症、臓器障害が起こるため早期に手術が必要。
- 急性胆嚢炎、急性膵炎:炎症、臓器障害が起こるため早期に手術が必要。
胸痛の性状と考えられる疾患
- 胸の表面に生じる痛み (チクチクする、刺すような痛み):肺の外側が原因であることが多い → 肋骨骨折、肋間神経痛、帯状疱疹、乳腺炎、皮膚炎 などの病気。
- 胸の深いところに生じる痛み (胸が締め付けられるような、裂けるような痛み、圧迫感):胸にある重要な臓器が原因であることが多い → 心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、肺塞栓症、食道破裂 などの病気。
- 胸の臓器以外の原因で起こる痛み (肩に放散される痛み、上がってくる痛み):食道、胃、十二指腸、胆のう、膵臓 などの消化器が原因であることが多い → 逆流性食道炎、胃潰瘍、胆のう結石症、急性胆嚢炎、急性膵炎 などの病気。
胸痛の特徴や併存する他部位の痛みから考えられる疾患
- 息を吸った時に痛みが強くなる:胸膜性の胸痛 (胸膜の炎症でおこる) である可能性がある → 胸膜炎、肺炎、肺塞栓症、気胸、心外膜炎、肋骨骨折 など。
- 胸痛に背部痛 (背中の痛み) を伴う:体の背中側の臓器に問題がある可能性がある → 大動脈、肺の背側、心臓の後壁、十二指腸、胆のう、膵臓 の疾患 など。
- 食後や寝ている時にでる:消化器の病気である可能性がある → 逆流性食道炎、胆のう結石症、急性胆嚢炎、急性膵炎 など。
- ストレスや不安による自律神経機能の乱れが原因で胸痛を引き起こす可能性もある → パニック発作 など。
胸痛に対する検査
- 心電図検査:虚血性心疾患などを除外できる。場合によっては繰り返しの検査が必要。
- 血液検査 (採血):虚血性心疾患などを除外できる。臓器機能、凝固能等を測定し臓器異常をみつける。
- 動脈血ガス検査:呼吸状態を調べるために必要な検査。早急に治療が必要な場合を判断できる。
- 胸部X線検査:心臓、肺、血管などの胸部の異常臓器の推定が可能。
- 心臓超音波検査:体に侵襲がなく、心臓を観察可能。心臓の動きや水のたまりなどを評価できる。
- 胸部CT検査:客観的に胸の状況が分かる。設備のある比較的大きい病院でしか施行できない。
- 腹部超音波検査、腹部X線検査:胸痛の原因を検索するために胸部以外の検査も行う。