Abdominal pain
腹痛
腹痛 に関して
腹痛は”お腹が痛い”という状態ですが、原因となる病気が非常に多く、診断が難しい症状といえます。そのため、腹痛を引き起こしている病気を特定するには、詳細な問診に加え、各種の検査が必要になる場合があります。お腹にはたくさんの臓器があり、そこに何かがおこると腹痛が出現しますが、お腹以外の臓器 (肺や心臓) や全身性疾患も腹痛をおこすことがあるため注意が必要です。
急いで医療機関を受診すべき腹痛
- 持続して耐えられない。
- 突然発症し今まで経験したことがない痛み。
- 動いたらお腹にひびく。
- お腹が膨らんで戻らない。
- つらい症状を伴う (胸痛、嘔吐、吐血、10回以上の下痢、下血、血尿、冷や汗、意識障害 など)
持病がある方、妊婦さん、高齢の方は、上記所見でなくても受診を考えて下さい。
お腹の部位の名前と存在する臓器
おなかの中には下記のようにたくさんの臓器があります。
腹痛の部位と考えられる疾患
- 心窩部痛:逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、胃癌、膵炎、急性虫垂炎初期 (関連痛)、アニサキス症、心筋梗塞、狭心症、大動脈解離 など。
- 右季肋部痛:胆のう結石症 (胆石発作)、胆道感染症 (総胆管結石など)、胆道癌、十二指腸潰瘍、肝臓癌、尿管結石、フィッツヒューカーティス症候群 など。
- 左季肋部痛:膵炎、膵癌、胃潰瘍、尿管結石 など。
- 臍部痛:急性腸炎、腸閉塞症、腸間膜動脈閉塞症、動脈瘤破裂、臍ヘルニア など。
- 右下腹部痛:急性虫垂炎、大腸憩室炎、鼠経ヘルニア (鼠経部:またのところ) など。
- 左下腹部痛:虚血性腸炎、大腸憩室炎、便秘症、鼠経ヘルニア (鼠経部:またのところ) など。
- 下腹部痛:感染性腸炎、過敏性腸症候群、S状結腸捻転症、膀胱炎、尿路結石 など。
※ 女性の場合:卵巣捻転、卵巣嚢胞出血、骨盤内炎症症候群、月経困難症、子宮外妊娠、排卵痛 など
腹痛の原因疾患と考え方
① 性別、年齢、過去の病歴 から考える
- 女性:妊娠の可能性を除外する必要があります (検査が赤ちゃんに有害な可能性があるため)。妊娠に伴う腹痛は子宮外妊娠、流産、早産などが考えられます。
- 子供:腹痛の原因で最も多いのが便秘症です。また、うまく表現できないこともあるので、腹痛以外の症状が原因であることもあります。
- 過去の病気:過去にお腹の手術をされたことがある方は腸閉塞症の可能性が高めです。医療機関の受診時に教えてください。
② 痛みの性状や併存する他部位の痛み から考える
- 痛くなったり痛くなくなったりする:筋肉が収縮する痛み (腸の蠕動痛など) のことが多いです。便秘症、感染性胃腸炎、胃痙攣、胆のう結石症、尿管結石 などが考えられます。
- 他の場所 (胸や背中など) にも痛みがある:関連痛を伴う疾患、背中側の臓器の疾患の可能性があります。急性虫垂炎、胆のう結石症、胆嚢炎、膵炎、尿管結石症、大動脈解離、狭心症、急性心筋梗塞 などが考えられます
③ 腹痛をきたす特殊な状態や疾患
- ストレスでもお腹が痛くなりますし、糖尿病や血管炎などの全身の病気や、帯状疱疹などでも腹痛を認めることがあります。
腹痛に対する検査
- 血液検査(採血):炎症反応、臓器機能、凝固能、血糖値等を測定し臓器異常をみつけます
- 尿検査:尿路系の疾患を推定可能です。妊娠反応検査等もできます。
- 腹部X線検査:腸管のガスの分布状況や異常臓器の推定が可能です。
- 腹部超音波検査:体に侵襲がなく、臓器を観察可能です。お腹の中の状況次第では観察困難な場合があります。
- 腹部CT検査:客観的にお腹の状況が分かります。設備のある比較的大きい病院でしか施行できません。
- 心電図検査、心臓超音波検査、胸部X線検査:腹痛の原因を検索するためにお腹以外の検査も必要なことがあります。