Cardiovascular disease (Heart disease)
心疾患
心筋梗塞、狭心症
心筋梗塞とは心臓に栄養を送る冠動脈が閉塞して心臓の筋肉(心筋)が壊死に陥る病気で、狭心症とは冠動脈が狭窄して心筋が虚血に陥る疾患です。
心筋梗塞と狭心症は冠動脈疾患と呼ばれ、緊急で冠動脈を拡げる治療が必要な急性冠症候群 (心筋梗塞、不安定狭心症) と薬物療法もしくは待機的な冠動脈を拡げる治療を必要とする安定冠動脈疾患 (労作性狭心症、冠攣縮性狭心症) に分類されます。
ともに動脈硬化や生活習慣病がリスク因子となるため、その予防と早期発見・早期治療が重要です。

- 急性冠症候群:冠動脈が急速に狭窄・閉塞し、心臓の筋肉 (心筋) が虚血・壊死に陥る病気です。急性心筋梗塞と不安定狭心症がこれにあたり、緊急で治療を行わないと心臓が障害され命にかかわります。
- 治療は早ければ早いほど良いので、経験したことのない胸痛 (その他に、息切れなどの非典型的な症状も起こりえます) 等がある場合にはできるだけ早く医療機関を受診して下さい。
- 安定冠動脈疾患 (慢性冠症候群):心臓を栄養する冠動脈が狭くなり、一時的に心臓の筋肉 (心筋) が虚血に陥る病気です。労作性狭心症、冠攣縮性狭心症がこれにあたり、症状緩和目的の薬物療法や急性冠症候群 (急性心筋梗塞) への進行予防目的の薬物療法が必要です。
- 胸痛などの狭心症症状が強い場合や薬物療法で治療が難しい場合は、冠動脈の血流を改善するための治療 (カテーテル治療もしくは冠動脈バイパス術) が考慮されるので、動いた時や明け方の胸痛等がある場合には医療機関を受診して下さい。
大事なこと
- 突然の胸痛や息切れなどの症状が出現した場合は、できるだけ早く医療機関を受診する。
- 医療機関では急性冠症候群かどうかを心電図、採血検査を用いて早期に判断する。
- 急性心筋梗塞の場合は発症から120分以内にカテーテル治療を行う (できるだけ早期にカテーテル治療が可能な病院に搬送し治療を行う)。
- 急性冠症候群治療後は薬物治療およびリスク因子の除去を行い、再発予防に努める。
- 安定冠動脈疾患の場合は、まずは症状緩和の薬物療法、続いて心筋梗塞予防の薬物療法を行う。
- 大多数の安定冠動脈疾患の患者さんは、薬物療法にて治療が可能である。
- 非侵襲的な検査 (冠動脈造影CT検査が主) で冠動脈の狭窄があり、症状が強く、薬物療法でも軽快しない場合は、カテーテル治療もしくは冠動脈バイパス術による血行再建術を考慮する。
- 冠動脈疾患は動脈硬化が最大の原因。禁煙、生活習慣病の予防など、リスクを減らすことが大事。
- 冠攣縮性狭心症(明け方の胸痛)は攣縮を予防して冠動脈を拡げるための薬物療法を行う。
気を付けておいてほしいこと
- 今まで経験したことのない突然の胸痛や息切れなどの症状が出現した場合は、できるだけ早く医療機関を受診して下さい。急性冠症候群の場合は早期に治療を行わないと命に関わります。
- 動いた時や明け方の胸痛や息切れ (安静にすると 良くなる) などの症状が頻繁に出現する場合も早期に医療機関を受診して下さい。
詳しくは下記をご覧ください
心臓弁膜症
心臓は胸の中心やや左側に位置する臓器で、右心房、左心房、右心室、左心室の4部屋で構成されます。心臓はポンプの役割で、それぞれの部屋を隔てる心臓弁を効率よく開け閉めして、肺および全身に血液を送り出しています。
左心室は全身に血液を送り、入り口の弁は僧帽弁、出口は大動脈弁という名前がついています。右心室は肺に血液を送り、入り口の弁は三尖弁、出口は肺動脈弁といいます。
弁が壊れてしまい効果的な開け閉めができなくなる病気が心臓弁膜症で、弁が十分に開かなくなる病気を狭窄症、弁の閉まりが悪くなる病気を閉鎖不全症といいます。心臓弁膜症は、自覚症状がみられたらすでに危険な状態である可能性があるので、早期発見、必要に応じた治療が重要です。内服薬などで症状の改善は期待できますが、根本的な治療としては外科手術か経カテーテル的治療が必要になります。
心臓弁膜症の種類と頻度は下記になります。
- ① 僧帽弁閉鎖不全症 (MR:mitral regurgitation)
- ② 大動脈弁狭窄症 (AS:aortic stenosis)
- ③ 大動脈弁閉鎖不全症 (AR:aortic regurgitation)
- ④ 僧帽弁狭窄症 (MS:mitral stenosis)
三尖弁、肺動脈弁も問題になることがありますが、上記疾患が多いとされています。しかし、2つ以上の心臓弁膜症が合併 (連合弁膜症) することが多く、連合弁膜症の手術は弁膜症手術の約25%を占めると報告されています。
大事なこと
- 弁膜症と言われたら、その種類と重症度が大事 (どの弁がどの程度調子が悪いか、治療が必要か)。
- 弁膜症は自然に治ることはない。心筋の障害が進行する前に治療する。
- 人によっては無症状なこともあるが、早期に治療を考慮したほうがいい場合もある。
- 弁膜症と診断されて症状がある場合は、手術もしくはカテーテル治療を検討する
- 手術もしくはカテーテル治療をすることで通常の日常生活を送れるようになる。
- 高齢との理由だけでは手術もしくはカテーテル治療を見送ることはない。
心臓弁膜症に必要な検査 (下記以外にもレントゲン検査、心電図検査などを行います)
- 聴診:心臓が収縮、拡張するときの雑音や特殊な音を聴取し、心臓弁膜症を疑います。
- 心臓超音波検査:必須の検査です。弁膜症の診断を行い、重症度や治療の可否を評価します。
気を付けておいてほしいこと
- 全身に効率よく血液を送れなくなり、様々な症状 (動悸・息切れ・呼吸困難・胸痛など) がでます。自覚症状がみられたらすでに危険な状態である可能性があるので、気になったらできるだけ早く医療機関を受診して下さい。
- 心臓弁膜症の治療はどんどん進歩しています。各個人の疾患の状態、年齢などによって、傷口が小さな手術やカテーテル治療が選択可能な場合があります。
詳しくは下記をご覧ください
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